「(real) time と study tables」 の感想
こんにちは.
今回は先日見に行った三ノ輪のspace dikeで展示されてた「(real)timeと study table」についての感想をまとめてみようかなあと思います.展示内容にがっつり触れます.先日行った立ち話で言った疑問点をあげつつ,気になった点をつらつらと書くことになるかなあと思います.
展示について
さすがに何もないとアレなので,展示の紹介などを.
「(real)timeと study tables」という関真奈美さんとtadahiさんのグループ「study tables」が「(real)time」ということについて,検証,考察をしている展示です.
この後ネタバレというか,がっつり内容に触れます.
まず,study tablesは日常語としてのリアルタイムを提示する.(wikiなどを参照しながら)その後,彼らが提示する(real)timeとの感覚的な違いを形式化しようとして『視点 + 時空(n+1)=(real)time』という仮説(?)を立てて,検証を行なっていくわけなんですが.(あくまで主観です,私がそう思っただけなのでもしかしたら違うかもしれません.)
テキストはこれです.
まずここで何個か疑問点が出ました.
- この式の物理量,つまり単位は何になるのか.
- nは0から始まるのか,1からを想定しているのか?*1
- 視点と時空は分離されてるが,視点は時空の一部になっていることもあるのでは?また,視点の持つ時空は(real)timeに依存しないのか?
- これは(real)timeを定義している式なのか,ただの等式なのか.
という点が浮かび上がってきました.実は最終日に行った立ち話で疑問については聞かせていただいたのですが,後で詳しく説明します.
展示の話に戻ります.検証Aから検証Eという実験,考察を提示しているのですが.
ここでは特に,
- iPhoneが二つあり,ジャンケンをしてる動画を流しています.一方だけ,少し短めに切ることで,掛け声が合わなくなったり,ジャンケンの勝ち負けがずれるというもの.
- ドアの開け閉めとその際に流れる音のズレをだんだん大きくしていく動画.
- スローターハウス5と現実の時系列の対応.
について見ていくことにします.これを見て前に提示されていた『視点 + 時空(n+1)=(real)time』を当てて見てみると次のような疑問点が出てきました.
- 視点と言っているものが検証によって異なっているが,それは意図していたのか?
- 時間の対応関係が検証によって異なっているがそれはいいのか?
です.
それに対する私個人の見解と疑問に対する解消を話していきたいと思います.
疑問の解消
疑問の解消に行く前に,『視点 + 時空(n+1)=(real)time』を提示された時に,このような図が提示されていました.
私はこの解釈ではなくて,別の解釈を考えました.次の図です.(図が汚いのは許してください)
つまり,時空Aに対して,時空Bが視点という写像によって一対一に対応することによって,(real)timeという認識が生まれるのではないのだろうかという解釈です.もっと正確にいうと,視点によって一種の同型がなされた時に(real)timeと認識するのではないのかということです.一対一に対応というのが重要です.数学的にいうと全単射なのですが,右側からも左側からも一個のものに対して一個のものが対応しているということだと思っててください.
このような解釈で彼らの行っていた検証を見てみると次のように見ることができるなあと思います.
こうなります.これによって,同型が取れていれば一種の(real)timeが生まれ,視線による写像の違いも明確に分けることができると感じました.1と2では視線は観客で,3では作家というのが明らかにわかります.これによって,検証における疑問がある程度解消されました.
次に『視点 + 時空(n+1)=(real)time』についての疑問点ですが,これも『時空の同型を認知した時に(real)timeと感じる』-(*)という考えで見てみます.すると,nは0から始めた時は自明な時空Aから時空Aへの写像になるので,考察しやすくなるのではと感じました.
また,式ではなく,(*)的な手法でみることにより,物理量をきにしなくてよくなり,定義としての役割も出ています.(詳しくお話が聞きたいようでしたら,私に連絡いただければと思います.)
このような手法でもう一度(real)timeについて考えたいなあと思いました.勝手な妄想ですが,クリプキモデル的に考えてみるのも面白いのかなあと感じました.
最後に
全体的に疑問点ばかりについてしか触れてませんでしたが,展示全体の目的はとても面白く,興味を持ちました.美術と学術一般の展示の違いを強く感じましたね,とても参考になりました.展示も面白かったので次の展示も見に行きたいです.(回し者じゃないです)
それでは.